【カニが黒くなる原因】黒変と腐敗の見分け方・防ぎ方

生カニの黒変と腐敗の見分け方を示す案内イラスト カニ通販

冷凍の生カニを解凍したところ、身や関節付近が黒くなり、「腐っているのでは」「食べても大丈夫なのか」と不安になることがあります。

生カニの黒ずみは、カニに含まれる成分が酸化してメラニンが生じる「黒変」の可能性があります。黒変だけで直ちに腐敗とはいえませんが、色だけで安全性を判断することもできません。におい、身の状態、保存温度、解凍後の経過時間をあわせて確認する必要があります。

先に結論

  • 生カニの黒ずみは、酸化による黒変の可能性がある
  • 黒変による色の変化だけなら、腐敗とは限らない
  • 強い異臭や著しいぬめりなどがある場合は食べない
  • 生冷凍カニは食べる直前に解凍し、解凍後は早めに調理する

カニが黒くなる主な原因は黒変

解凍後の生カニに黒変が起こる主な部位と流れを示した図解

生のカニを解凍したあとに身が黒くなる現象は、一般に「黒変」と呼ばれます。カニに含まれるアミノ酸のチロシンが、酸化酵素の働きによって酸化され、黒い色素であるメラニンが生成されることで起こります。

農林水産省の「消費者の部屋通信」でも、生冷凍カニを自然解凍した際の黒い変色について、チロシンが酸化酵素の作用を受けてメラニンが生成されたものと説明されています。

参考:農林水産省「消費者の部屋通信 令和4年1月号」

解凍すると黒変が進みやすくなる

冷凍されている間は酵素の働きが抑えられていますが、解凍によって温度が上がり、空気に触れる時間が長くなると、黒変が進みやすくなります。

特に黒くなりやすいのは、次のような部分です。

  • 脚の関節付近
  • 殻から露出した身の表面
  • カットされた断面
  • 胴体や肩肉の周辺

解凍直後は変色が見られなくても、時間がたってから黒ずみが目立つことがあります。黒変を完全に止めることは難しいため、解凍してから調理するまでの時間を短くすることが重要です。

黒変は生カニで起こりやすい

黒変は、加熱前の生カニで起こりやすい現象です。ボイル済みのカニでは、加熱によって黒変に関わる酵素の働きが弱まっているため、生カニと同じ仕組みによる黒変は起こりにくくなります。

ただし、ボイル済みのカニにも、乾燥、冷凍焼け、保存状態の悪化などによる色や質感の変化は起こり得ます。ボイル済みだから状態確認が不要というわけではありません。

黒変と腐敗の見分け方

酸化による黒変と腐敗を疑う状態の違いを比較した図解

黒変と腐敗は、見た目が似ていても原因が異なります。黒変は酸化による色の変化であり、腐敗は微生物の増殖などによって食品の状態が悪化することです。

確認項目 黒変の可能性がある状態 腐敗を疑う状態
解凍後、身や関節付近が黒または褐色に変わった 広い範囲に不自然な変色があり、ほかの異常も伴う
におい カニ本来のにおいで、明らかな腐敗臭がない 強い異臭や腐敗を思わせるにおいがある
身の状態 色は変わっていても、身の形や弾力が保たれている 著しくぬめる、溶けたように崩れるなどの異常がある
保存状態 表示どおり冷凍保存し、食べる直前に解凍した 室温に長時間置いた、保存温度や解凍履歴が分からない
判断 黒変だけなら腐敗とは限らない 食べずに販売店へ相談するか廃棄を検討する

見分けるときの注意
黒くなった原因を、家庭で見た目だけから確定することはできません。色だけでなく、におい、身の状態、保存方法、室温に置いた時間を確認し、少しでも不安がある場合は、無理に食べず販売店へ相談するのが安全側の判断です。

強い異臭がある場合は食べない

黒変したカニでも、色以外に異常がなく、適切に保存されていた場合は、腐敗しているとは限りません。一方、開封したときに明らかな異臭がする場合や、時間とともに不快なにおいが強くなる場合は、食べないでください。

異常が疑われる食品を、少量食べて安全性を確かめることも避けましょう。加熱しても、保存状態が悪かった食品を安全な状態に戻せるとは限りません。

ぬめりや身崩れも確認する

身の表面に著しいぬめりがある、身が溶けたように崩れている、触れたときの状態が購入時と大きく異なる場合も注意が必要です。

ただし、解凍時に出る水分やカニの体液だけで、腐敗しているとは断定できません。色、におい、保存状況を含めて総合的に判断してください。

保存温度と解凍後の時間を確認する

見た目やにおいに目立った異常がなくても、室温に長時間置いた場合や、冷凍と解凍を繰り返した場合は、食中毒の危険を見た目だけで判断できません。

農林水産省は、冷凍魚介類を解凍する際は冷蔵庫や流水などを利用し、常温で解凍した場合は放置しないよう案内しています。生の魚介類は、解凍後も低温で管理し、速やかに調理することが大切です。

参考:農林水産省「腸炎ビブリオ(細菌)」

黒くなったカニは食べられるのか

酸化による黒変だけであり、適切に冷凍・解凍され、異臭や著しいぬめりなどがない場合は、黒くなったことだけを理由に腐敗しているとはいえません。

横浜市衛生研究所の事例でも、真っ黒に変色したカニについて、腐敗臭や鮮度指標を調査した結果、腐敗ではなくメラニンの生成による変色と判断されています。

参考:横浜市「苦情事例集 カニの身の変色」

ただし、黒変であることを家庭で確実に証明できるわけではありません。次のいずれかに該当する場合は、食べずに販売店へ相談するか、廃棄を検討してください。

  • 強い異臭がする
  • 著しいぬめりや身崩れがある
  • 解凍後に室温で長時間放置した
  • 冷凍状態が保たれていたか分からない
  • 賞味期限や販売店の保存指示を確認できない

冷凍カニの保存期間や、賞味期限を過ぎた場合の考え方は、冷凍カニの賞味期限と保存方法で確認してください。

カニの黒変を遅らせる方法

黒変は、解凍後に時間がたつほど目立ちやすくなります。遅らせるための基本は、食べる直前まで冷凍状態を保ち、商品に表示された方法で必要な量だけを解凍し、速やかに調理することです。

生冷凍カニは食べる直前に解凍する

生冷凍カニは、商品パッケージや販売店が指定する解凍方法を最優先してください。流水解凍が指定されている商品では、次の流れが目安になります。

  1. 調理する分だけ冷凍庫から取り出す
  2. 冷たい流水で表面の氷の膜を洗い流す
  3. 身を強くこすらず、長時間水に浸さない
  4. 中心に凍った部分が残る半解凍程度で止める
  5. 解凍後は放置せず、速やかに調理する

農林水産省の資料では、生冷凍カニについて、冷たい流水で表面の氷の膜を洗い流し、半解凍の状態で調理する方法が案内されています。お湯やぬるま湯を使うと急激に温度が上がるため避けましょう。

カニの種類別の茹で時間や塩分、甲羅の向きについては、【生カニの茹で方】塩分・時間・水から入れるかを種類別に解説で詳しくまとめています。

水に長く浸けすぎない

流水を使う場合でも、水を張った容器にカニを長時間浸けたままにするのは避けましょう。解凍に時間がかかるだけでなく、カニの旨味が水へ流れ出る原因になります。

流水解凍は、表面の氷を落として調理できる状態にするための方法です。完全に柔らかくなるまで水に浸ける必要はありません。

ボイル済みカニは冷蔵庫で解凍する

ボイル済みの冷凍カニは、生冷凍カニと解凍方法が異なります。一般には乾燥を防ぐために袋やラップなどで包み、冷蔵庫でゆっくり解凍します。

ただし、商品によって推奨される解凍時間や包装方法が異なるため、販売店の説明を優先してください。生冷凍カニとボイル済みカニを同じ方法で解凍しないことが大切です。

解凍と再冷凍を繰り返さない

一度解凍したカニを再び冷凍すると、温度変化によって品質が落ちやすくなります。また、解凍中の温度管理が適切でなければ、衛生面の不安も生じます。

厚生労働省も、冷凍食品は使用する分だけ解凍し、解凍後はすぐに調理するよう案内しています。食べる量に分けて冷凍されている商品なら、必要な分だけ取り出しましょう。

参考:厚生労働省「家庭でできる食中毒予防の6つのポイント」

解凍後に黒くなったときの対処法

解凍後に黒くなったカニを確認する手順を示した図解

解凍後に黒ずみを見つけた場合は、すぐに食べるのではなく、次の順番で状態を確認してください。

黒くなったときに確認すること

  • 黒い部分が身の表面や関節付近に出ているか
  • 強い異臭や著しいぬめりがないか
  • 表示どおりの温度で保存していたか
  • 解凍後に室温で長時間放置していないか
  • 賞味期限と販売店の注意事項を守っているか
  1. パッケージの保存方法と解凍方法を確認する
  2. におい、ぬめり、身崩れなど色以外の異常を確認する
  3. 問題が見当たらなければ、商品表示に従って速やかに調理する
  4. 判断できない場合は食べず、販売店へ問い合わせる

問い合わせる場合は、カニをすぐに捨てず、商品名、賞味期限、保存状態、解凍方法が分かるようにしておくと説明しやすくなります。外箱や食品表示、黒くなった部分の写真も残しておきましょう。

到着時から解凍していた、包装が破れていた、商品説明と状態が異なるといった場合は、販売店へ早めに連絡してください。通販購入時の確認事項は、カニ通販で失敗しない選び方でも解説しています。

甲羅に付いた黒い粒は身の黒変とは別

カニの身が解凍後に黒くなる現象と、甲羅の表面に付いた硬い黒い粒は別のものです。

甲羅にまとまって付着している黒い粒は、カニビルの卵である場合があります。これは身の成分が酸化して起こる黒変ではありません。

甲羅の黒い粒の正体や安全性、身入りとの関係については、【カニの甲羅にある黒い粒は何?】カニビルの卵と安全性で確認してください。

カニの黒変は腐敗と分けて判断し、解凍後は早めに調理する

生冷凍カニを解凍したあとに身が黒くなるのは、チロシンが酸化され、メラニンが生成される黒変の可能性があります。黒変による色の変化だけで、直ちに腐敗しているとはいえません。

ただし、見た目だけで安全性を確定することはできません。強い異臭、著しいぬめりや身崩れ、長時間の室温放置、保存状態への不安がある場合は食べないでください。

黒変を遅らせるには、生カニを食べる直前まで冷凍しておき、商品の指示に従って必要な分だけ解凍し、速やかに調理することが基本です。すでに黒くなって判断に迷う場合は、無理に食べず、商品表示を手元に用意して販売店へ相談しましょう。

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